2008年11月04日
幻の映画『祇園祭』
NFCで開催中の『生誕110周年スターと監督大河内傳次郎と伊藤大輔』で10月18日の「明治一代女」鑑賞に続いて「祇園祭」を観てきた。
「明治一代女」は今回初めての鑑賞だったのだけど伊藤大輔の戦後作品としては「下郎の首」程ではないにしても、幾つかの素晴らしいショットと、期待通り、いつも妖艶な木暮実千代の演技、そして共演の田崎潤との壮絶で悲愴漂うクライマックスへ向かうストーリーとキャメラの連動が見事で伊藤大輔の持ち味を存分に楽しめた作品だった。
「祇園祭」の方は、現在までテレビ放映はおろかビデオ、DVD化もされる事はなく、関西地区でも滅多に観る事が出来ない幻のような作品なのだが、今回はこの東京でもその幻の作品を観る貴重な機会という事でそれなりに楽しみにしていた。
なぜ、それなりなんて中途半端な表現かと言うと、監督が伊藤大輔ではなく、山内鉄也というかなりビミョーな監督がメガホンを取っているのと、中村錦之助のあまりに流暢な台詞回しが映画的なリアルさから程遠く感じてしまう、という個人的な好みの二点の理由なのだけど… まぁ、実際に鑑賞してみると案の定、不安的中だった。だらしないズームアップやパンなどのキャメラワーク、ダラダラ長い脚本に説明セリフの数々…ここまでくると、もうどうにもならない。東映のテレビ時代劇スペシャルを観ているようだ。
長年、伊藤大輔が温めてきた企画というだけあって、とても興味深い壮大なスケールの題材なだけに伊藤大輔が監督を途中降板なんて事態にならなければ、どんな傑作になっていたのだろうか?と思わせるだけに、この作品の残念な出来には腹立たしさすらこみ上げてくる程だ。
席を立ちロビーを歩いていると方々で他の観客も同じような事をいっていた。
はぁ~残念…
『祇園祭』 応仁の乱に続く戦渦の中で長年途絶えていた祇園祭が、京の町衆の力で復興するさまを描いた大作。伊藤大輔が長年あたため、京都府の府政100年事業として製作にこぎ着けたが、伊藤は途中で監督を降板し、クレジットには企画として名前をとどめている。昨年京都で映画「祇園祭」復元版上映委員会が行った復元の成果をもとに、オリジナル・ネガから復元したプリントを上映(協力=京都府、京都文化博物館)。
'68(日本映画復興協会)(企画)伊藤大輔(監)山内鉄也(原)西口克己(脚)鈴木尚之、清水邦夫(撮)崎新太郎(美)井川徳道(音)佐藤勝(出)中村錦之助、滝花久子、佐藤オリエ、岩下志麻、永井智雄、田中邦衛、志村喬、田村高広、三船敏郎
- Permalink
- by Phantom
- at 19:12
- in 映画
- Comments (0)
- Trackbacks (0)