2008年08月02日

大佛次郎の娘さんも一緒に鑑賞した『霧笛』 -横浜黄金町映画祭

横浜黄金町映画祭及川道子、井上雪子
名画座シネマ・ジャック&ベティで行われた横浜黄金町映画祭に参加。1930年代のサイレント名画の『港の日本娘』と『霧笛』を鑑賞。

港の日本娘
清水宏の『港の日本娘』は以前にも観ているけど、今回は活弁付きの上映とあって(ビデオやDVDでしか活弁を体験した事が無かったので…)とても楽しみにしていたのだ。
映画史研究家丸岡澄夫氏による活弁は氏が横浜在住で実景シーンが出るたびに「ここは伊勢佐木町の有隣堂とノザワ屋(現松坂屋)の前です。」とか「この原っぱは後の港の見える丘公園の場所です」などと細かく注釈を入れながらの活弁が楽しくて、以前『港の日本娘』を鑑賞した時には確信がもてなかったロケーション場所が「ああ、やっぱりそうか」と納得したり、「ええ?そうなの」などと教えられたりしてとても勉強になった。

霧笛
今回の一番の目当ては村田実監督の『霧笛』
村田実といえば、映画監督としては溝口健二の兄貴分と言える人物で残念ながら44歳の若さで亡くなり、トーキーを撮る事はなかったのだけど、後年、サイレント期のスターだった中野英治が「村田実が生きていたら溝口健二などメじゃない」と述べているし、新藤兼人監督も「もっと村田実は評価されていい」と語ってるのを聞いていたので、そんなにスゴイ監督なら是非観てみたいと常々思っていたのでついに観られるかと思うと嬉しくてしょうがない。
溝口健二自身の弁によると当時、村田実が男性モノで上手くいってたから二人いてもしょうがないという事で自分は女性モノを撮るようになったらしい。

この『霧笛』は大佛次郎原作で開港当時の横浜を舞台にした男と女の物語。私の座っていた座席の2、3席隣りには大佛次郎の養女の野尻政子さんと大佛次郎研究会の方もいらしていて、上映前の挨拶で『霧笛』の「登場人物のモデルとなった方はホテルニューグランドのバーテンダーをなさっていた方で酔っ払った大男の水兵を投げ飛ばしたりするほど強い人でした」などエピソードを語っていた。

映画自体は乱闘シーンなどちょっとしたアクションもあるし、カットがものすごく細かいし、繋ぎの上手さとテンポの良さで心地よいリズムで話が展開していく。そして明治初期の横浜外国人居留地の風情がリアルに再現されていてサイレントであるのを忘れてしまいそうになるし、まるで台詞が聞えてくるような錯覚を覚えるほど真に迫ってくる演出。ものすごいぞ村田実!

とにもかくにも、期待に違わぬ監督振りで村田実の作品を観れたのは大きい収穫だった。

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