2007年12月27日
映画『赤い鯨と白い蛇』と香川京子さん
香川京子さんの40数年ぶりの主演映画という事で観たが、作品の感想はというと香川さん、樹木希林 、浅田美代子、宮地真緒、坂野真理ら5世代にわたる女性の生き方を香川さん演じる主人公の戦争の記憶を軸にして~というストーリー展開の為、かえってそれぞれの女性の心の葛藤が薄くなり作品を通して伝えたかったテーマの訴求性を弱めてしまっているのが残念。いっその事、香川さん演じる主人公だけをじっくり描いても良かったではないかと思う。バランスよくそれぞれを描こうとするあまり単に淡々とした作品になってしまっている様な気がする。
たぶんこの作品のテーマを「さまざまな世代の人に“フワっと”でいいから感じてもらえればそれで良い」というような監督の控えめな意図が逆にあったのかもしれないけど。
それにしても香川さんは幾つになっても素晴らしい。好きな女優は色々いるけど、やはり最も好きな女優なのは変わらないな。
溝口、黒澤、小津、成瀬、等々、日本映画黄金期の巨匠の名作に数多く出演しているけど、久しぶりに観た溝口の『近松物語』のおさん役なんてホント何度観てもウットリしてしまう美しさだし、『東京物語』での京子役や黒澤の『天国と地獄』『悪い奴ほどよく眠る』で演じた三船敏郎の妻役なんかも決して出演シーンはそれほど多くないけどすごく良い。
個人的には黒澤の『どん底』での山田五十鈴の可哀想な妹役が一番印象的で好きだけど、お年を召してからも凛とした清潔感のある女性というイメージはまったく変わらない稀有な女優さんだ。
- by Phantom
- at 01:40
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