2007年03月02日
偉大な俳優

昨年末から黒澤明の映画作品をゆっくりと観返してきたが、その殆どで主演をしている三船敏郎がつくづく良い。“世界のミフネ”として外国映画にも数多く出演している人だが、必ずといってよい程「黒澤明に気に入られたからこその名声だ」というような事も言われるが、(もちろんその指摘も間違ってはいないが…)それだけではない。いかに黒澤明といえど三船敏郎という金の卵と出会わなかったら今ある黒澤映画とは大分違う展開を余儀なくされていた事だろう。大体が名監督と名優のコンビが誕生するからその作品がレジェンドになるワケで…J・スチュアートだってヒッチコックと多くコンビを組んだし、アル・パチーノとコッポラ、デ・ニーロもスコセッシ、比較的に近年だとルーカス&ハリソン・フォード・コンビも同様だ。
三船敏郎は堂々とした小細工しないオーソドックスな芝居をするので、一本調子に見えてしまいがちだが、表情と身のこなしで完璧な表現をしている事がちゃんと観てればすぐ分かる。もちろん「監督の演出が素晴らしいからこその役者が輝くのだ」と、言われればそれまでだが、その監督の高すぎる期待に応え続けた三船の凄さ。それに三船は身体的にも素晴らしい。有名なエピソードだけど映画「用心棒」での殺陣で彼の振り回す刀のスピードがあまりに速い為に撮影フィルムのコマに剣先が映ってなくてフィルム編集時に困ったという話があるし、「隠し砦の三悪人」劇中で猛スピードで走る裸馬の上で両手を手綱から離し刀を上段の構えで平行しながら騎馬武者と戦うなんてシーンも見事にやってのけている。猛々しいイメージばかりが強調されるが彼の演じ方にはちゃんとユーモアも含まれているし、何よりも台詞のない顔アップだけで画面がもってしまう存在感が無条件に素晴らしい。これほどの俳優を今の時代に見つけることはほぼ無理だし、もう現れないだろう。この間お亡くなりになってしまった丹波哲郎氏もそうだが、本当に個性的で独特の味がある俳優が少ない日本になってしまったなぁ~と改めて残念に思う今日この頃。
- by Phantom
- at 00:03
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