2006年12月12日

映画「硫黄島からの手紙」

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太平洋戦争末期、本土防衛の最終ライン「硫黄島」での戦闘を日本側の視点で描いたアメリカ映画。
こういう映画の感想は難しい。「良かったよ」と安易に答えられるような類の話ではないし、不用意に「つまらない」なんて言おうものならまるで人間性の欠片もない人の様な誤解をされかねない。なのでストーリーやテーマなどはこれから劇場に足を運ぶ人それぞれの受け止め方にお任せして、映画作品としてどうだったかを少し書く。

観た直後の率直な感想は複雑なもので、戦争の悲惨さと愚かさ、そして戦争に勝者も敗者も無く、無残なだけ。という、とかく人は忘れがちだが当たり前の思いが画面から充分伝わってくる。だけども、戦闘シーン~人間模様~フラッシュバック、戦闘シーン~人間模様~フラッシュバック~という単調なパターンの繰り返しと多用されるテーマ曲がややしつこくて観てる側に悲劇を押し売りしている様に感じさせられて返って感情移入しにくくなる。それに実話をテーマにした作品作りにおいて当たり前の事なのだが、物語を際立たせる為の脚色部分に違和感を感じてしまう箇所も幾つか有り、この辺りも私には辛かったし、ほぼ1ヵ月間に渡る死闘も時間経過が分かりにくく栗林中将の苦心も印象が弱い。ただ、だからと言ってこの映画が作品としてダメかというとそういう事はなく、監督の描きたかった事やテーマはちゃんと伝わってくる。おそらく相当なリサーチと膨大な資料を検証したのであろう。その丁寧な作り方はさすがだ。そもそもハリウッドでオール日本人キャストで全編日本語の映画を作ったというだけでも歴史的快挙だし、字幕が苦手で外国映画を殆ど観ないアメリカ人をメインターゲットにした映画としては本当にスゴイ賭けだと思う。決してパーフェクトではないけど観る価値は充分ある作品。
出演者も好演していて、二ノ宮和也は素直な芝居で存在感を醸し出していたし、渡辺謙は相変わらずスムーズな演技と体の使い方が美しい。でも一番印象的だったのは抑えた芝居をしていた裕木奈江。健気さと悲しさが上手く表現していたと思う。

この作品の感想や批評で「この作品は我々日本人が作るべき映画だった。」というような事が言われる。私もそう思わないでもないが、それは無理な事だろうとの思いの方が強い。我々、日本人はとかく「日本の事は日本人が一番良く理解している、外国人とりわけ西洋人などにこの奥深い日本文化を真に理解出きる訳ない」と心のどこかで思っている。それはある意味正しい。日本に限らず、異文化を理解する事は簡単ではないだろう。我々だって、自分達が思っているほどアメリカやヨーロッパを理解など出来てない。だけど、この国はいつだって我々日本人が忘れている視点、埋没している諸問題について外国からの鋭い指摘や批評によって事の重要性を気付かされてきたのだ。だから、この映画は日本が作るべき映画だったと思う反面、我々には作れなかっただろうと思わざるを得ない。戦艦大和を題材にした映画は戦後に何度も製作出来たワケだから、この硫黄島を題材にした企画だって何度となく製作チャンスはあったはずなのだからね。

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